
発炎筒は車に装備が義務付けられていますが、皆さんは有効期限があることをご存知ですか?
また有効期限が切れていた場合、車検は通らないのでしょうか?
今回はその疑問と車検時に交換を指摘された場合の対処法や、発炎筒の種類についてご紹介したいと思います。
車の運転免許をお持ちの方でも、発炎筒を一生に一度も使用しなくてすむ方もいますが、車検や万一の車の事故等に備えてご参考にしていただければと思います。
目次
車の発炎筒とは
▼火薬式発炎筒(上)/LED式発炎筒(下)
発炎筒の正式名は自動車用緊急保安炎筒といい、JIS(日本工業規格)によって規格化されていて、道路運送車両法で「非常信号用具」として車への搭載が義務付けられています。
発炎筒はたいてい助手席足元に取り付けられていて、車の事故や故障などで緊急停車した場合に後続車や周囲に対して危険物・障害物があることを、いち早く知らせるために使うものです。
従来、火薬式の発炎筒が殆どでしたが、最近ではLED式の「非常信号灯」も発炎筒の代替品として使用されています。
「火薬式」のものは性能が低下することがあるため、有効期限は4年と定められていますが、「LED式」のものには有効期限はありません。
中古車を購入した場合、発炎筒の有効期限まで4年残っていない場合があります。
購入時には発炎筒の有効期限を確認しておきましょう。
発炎筒の使用期限切れでも車検は通ります!


▼火薬式発炎筒
有効年月 2016年1月、製造年月 2012年2月
実際2017年3月に受けた車検に通りました!!
車検では「発炎筒」に関する検査項目がなく、
『道路運送車両法でJIS規格に適合する性能の「非常信号用具」の装備が義務付けられている』
ということが、守られていればよいのです。
有効期限については触れていません。
よってJIS規格に適合した性能に問題のない発炎筒を装備さえしていれば、有効期限が切れていても車検は通るのです。
しかし発炎筒は万一の緊急時に備えて装備しておくものなので、いざという時に使える状態でなければいけません。
「発炎筒」が常に使える状態かを定期的にチェックするようにしましょう。
<火薬式発炎筒のチェック法>
- 有効期限が切れている場合は、新しいものと買い換えましょう
- 損傷や湿気を受けていないか確認しましょう
- 使用は1回きりなので、実際に使えるかどうか試してみることはできません
<LED式発炎筒のチェック法>(正しくは非常信号灯で発炎筒代替品)
- 電池の消耗や液漏れ等で使用できない状態になっていないか、定期的に点灯させてみましょう
※LED式発炎筒など非常用機器や防災機器には、液もれ防止製法の乾電池を使用するとよいと思います。
期限切れをディーラー等から指摘された場合の対処法

1:ディーラーで買い換える
価格はカー用品店や通販サイトなどで購入するよりは少々高めですが、自分で買い換える手間が面倒な方や価格にこだわらない方は、ディーラーやガソリンスタンド等で買い換えることができます。
もし「発炎筒の有効期限が切れているので、買い換えないと車検は通りません」
という説明を受けた場合には、すぐに買い換えなくても
車検は通ることを知っておかれるとよいと思います。
2:自分でカー用品店や通販サイトで買い換える
カー用品店や通販サイトなどで安く購入できます。
交換も助手席足元にある発炎筒ホルダーから有効期限切れのものを抜いて、簡単に差し換えができます。
買い換えるなら知っておきたい発炎筒の種類
「発炎筒」(JIS規格品)は火薬式で、道路運送車両法で車への搭載が義務付けられている「非常信号用具」です。
最近では火薬式発炎筒の代替品として使用できるLED式発炎筒(正しくは非常信号灯、電池式、JIS規格品)も販売されています。
1:火薬式の発炎筒
▼火薬式発炎筒
▼火薬式発炎筒:助手席足元のホルダーに装着時
「火薬式発炎筒」はおもに自動車や船舶等に装備され、使用すると鮮やかな赤い光りを放つ炎を上げ、後続車や周囲に危険物・障害物があることを知らせるための筒状の道具です。
従来この火薬式発炎筒が「非常信号用具」として使用されてきました。
火薬式発炎筒は有効期限があり、使用時間が短いうえ、使用は1回限りという短所がありますが、日中や明るい場所ではLED式よりも目立ちやすいという長所もあります。
【使用方法】
▼火薬式発炎筒の本体部分に使用法が書いてあります
1:本体をひねりながら取り出し、逆にしてさしこむ
2:キャップ頭部のすり薬でこする
→ 鮮やかな赤い光りを放つ炎が上がる
3:3通りの使い方が図で書かれている
・手に持って振るとき
・地上に置くとき
・地上に立てるとき
火薬式の発炎筒のメリット・デメリット
≪メリット≫
- 昼など明るい所ではLED式よりも目立つ
≪デメリット≫
- 4年の有効期限がある
- 使用は1回きりである
- 使用時間は5分程度で短い
- 使い方はLED式に比べると手間がかかる
- 雨天時には使用前にぬらしてはいけない
- 車内やトンネル内では煙が発生するため使用不可
- ガソリン漏れが起きた場合には引火の恐れがあるため使用不可
2:LED式の発炎筒(非常信号灯)
▼LED式発炎筒:開封時
開封時、箱の中に入っているもの
- 非常信号灯(LED式発炎筒)本体
- テスト用乾電池、単四×2本
- ホルダー以外の場所に収納する場合に使うシール
▼LED式発炎筒:本体からアダプターを取り外した状態
車の発炎筒ホルダーのサイズに合わせて装着できるように、本体のアダプターが取り外せるようになっています。
- ホルダーサイズが直径32㎜の場合:アダプターを付けたままホルダーに装着
- ホルダーサイズが直径27㎜の場合:アダプターを外してホルダーに装着
▼LED式発炎筒:レンズ部と本体が通常の状態
▼LED式発炎筒:レンズ部と本体の片側がストレートになった状態
発炎筒ホルダーに装着した場合に、レンズ部が車内の内装に干渉する場合は、レンズ部と本体の片側がストレートになるようにして装着できます。
【レンズ部と本体の片側をストレートにする方法】
レンズ部を持ち、本体を回転させると、レンズ部と本体の片側をストレートにすることができます。
点滅させる時はレンズ部を元の位置に戻さなくても、そのままのストレートの状態で使用できます。
▼LED式発炎筒:消灯時
▼LED式発炎筒:明るい場所で点滅時
▼LED式発炎筒:暗い場所で点滅時
▼LED式発炎筒:助手席足元のホルダーに装着時
▼車に設置したLED式発炎筒:日中点滅時
▼車に設置したLED式発炎筒:夜間点滅時

火薬式発炎筒のように有効期限はありませんし、電池の寿命がなくなるまで長時間使用できるうえ、何度でもつけたり消したりできます。
また電池の寿命がなくなった場合には、新しい電池と交換さえすれば、本体は壊れるまで使用できます。
ただ電池の寿命や電池の液漏れなどは外見上わからないため、気付かないうちに使えなくなっていることがあるので、定期的な点検が必要です。
【使用方法】
▼LED式発炎筒の本体部分に使用法が書いてあります
1:底部のバッテリーキャップをONの方向に回す → 赤色LEDが激しく点滅する
▼LED式発炎筒の底部
2:底部がマグネットになっているので、後続車から視認されやすいように、車のボディーに設置する
▼LED式発炎筒を点滅させ車のボディーに設置した状態
購入時に付属の乾電池は、動作確認用です。
別売のアルカリ乾電池と差し換えが必要です。
LED式の発炎筒(非常信号灯)のメリット・デメリット
≪メリット≫
- 有効期限がない
- 乾電池を交換すれば本体が壊れるまで使用できる
- 使用時間は約20時間で長い(乾電池の寿命による違いあり)
- 使い方は底部のバッテリーキャップをひねるだけなのでとても簡単
- 火が出ないので女性や高齢者でも扱いやすい
- 煙が出ないので車内やトンネル内でも使用可能
- 底部がマグネットになっていて車のボディーに設置可能
≪デメリット≫
- 日中や明るい場所では火薬式に比べ目立ちにくい
- 本体に有効期限はないが、電池の寿命や電池の液漏れ等で使用できない状態になっていないか、定期的に点検が必要(定期的に点灯して試してみる)
火薬式発炎筒を使用したり、有効期限切れで新しいものに買い換えるときは、LED式がおすすめです!
※今回の記事には、購入時期が異なる2種類のLED式発炎筒の写真を使用しています。多少デザインが異なっています。
▼LED式 非常信号灯:エーモン
・車検対応、発炎筒の代替品
・スイッチをひねってONにすると赤色LEDが点滅
夜間200m先から危険を知らせて追突を予防
・火気を使用しないため雨天や燃料もれの事故でも使用可能
・煙がでないので車内やトンネル内でも使用可能
・レンズカバー部分の可動やアダプターの脱着で様々な車種に設置可能
・車のボディーに設置できるマグネット付き
・連続点灯時間は約20時間(新品アルカリ乾電池使用時)
・女性や高齢者にも扱いやすい
※付属の乾電池はテスト用。別売のアルカリ乾電池 単4×2本が必要
▼LED式 非常信号灯:小林総研
・車検対応、発炎筒の代替品
・スイッチをひねってON・OFFを繰り返す回数で点灯種類の変更可能
赤色(点滅)→赤色(点灯)→白色(ライト灯、懐中電灯機能)の順に切り替わる
200m先から危険を知らせて追突を予防
・火気を使用しないため雨天や燃料もれの事故でも使用可能
・煙が出ないので車内やトンネル内でも使用可能
・様々な車種に設置可能
・車のボディーに設置できるマグネット付き
・連続点灯時間は約20時間(新品アルカリ乾電池使用時)
・女性や高齢者にも扱いやすい
※付属の乾電池はテスト用。別売のアルカリ乾電池 単4×2本が必要
※懐中電灯機能もあるので、車でお出かけの屋外イベントや屋外レジャーなどでも、あると何かとお役立ちです。

それでも定期的に点灯のチェックはするようにしましょう。
▼単4形アルカリ乾電池:パナソニック
・10年の長期保存可能。防災のストックにもおすすめ。
・液もれ防止製法採用。LED式発炎筒など非常用機器には特におすすめ。
・+極と-極の色が違うため識別しやすい。
LED式発炎筒に使用した残り6本は、10年の長期保存が可能なので、ストックしておくと他の機器にも使えるので安心です。
▼単4形アルカリ乾電池:東芝
・10年の長期保存可能。防災のストックにもおすすめ。
・液もれ防止製法採用。LED式発炎筒など非常用機器には特におすすめ。
・長持ちハイパワー
LED式発炎筒に使用した残り10本は、10年の長期保存が可能なので、ストックしておくと他の機器にも使えるので安心です。
火薬式発炎筒の処分方法
「火薬式発炎筒」は火薬類取締法で「がん具煙火」に分類され、「使用済」か「未使用」かで処分方法が異なってきます。
「使用済」の火薬式発炎筒の処分方法

使用済みのがん具花火と同様です。
「未使用」の火薬式発炎筒の処分方法

「未使用」でも火薬式発炎筒の有効期限切れなどで新しい火薬式やLED式の発炎筒と買い換えた場合は、「新しいものの購入先」によって処分方法が異なってきます。
- 新しいものの購入先がディーラーやガソリンスタンド、カー用品店などの場合
「未使用」の有効期限切れの火薬式発炎筒の処分を、買い換え時に依頼しましょう。 - 新しいものの購入先が通販サイトの場合
ご自身が利用しているガソリンスタンドやカー用品店に、「未使用」の有効期限切れの火薬式発炎筒を持参し処分を依頼しましょう。
まとめ
車の運転免許をお持ちの方でも、まだ一度も発炎筒を手に取ったことがない方もいるのではないでしょうか。
発炎筒を一生に一度も使用しなくて済むことを願いつつも、車検や万一の車の事故・故障等に備えて、今回の記事をご参考にしていただけたらと思います。
是非、ご自身の車の発炎筒を定期的にチェックしてくださいね。
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皆さんは車に装備されている発炎筒には、有効期限があること、
また期限切れの場合、車検に通るのかどうかをご存知ですか?